2009/04/28

シルクスクリーンの話

聞いた事はあるけれど、実際はどんなものなのか知らない人が多いシルクスクリーン。せっかくの機会ですから、イベントの前に少し。

シルクスクリーンとはその名の通り、スクリーン(版)を用いてプリントを行う、孔版画の技法です。
インクの通過する部分としない部分とに製版し、その穴のあいた部分を通してインクを押し出す印刷方法です。一色の色に対して一版を使用し、それらを刷り重ねていき、最終的に一つのアートワークを完成させます。
極論ですが、水と空気以外には何にでも刷れる、なんて云われているようです。随分と昔から長く伝わってきている、トラディショナルな手法なのです。

行程としては、大まかに 製版 → プリント → 乾燥 という具合。
今回は製版のワークフローを簡単に紹介します。

製版、まずは版を作る行程です。専門の業者等もありますが、この行程も自らで行っています。
スクリーンにもたくさん種類があり、メッシュ数で区分されます。例えば100メッシュを基準に、グリッターインク等を用いる場合には目の粗い70メッシュ。
刷り重なる部分のアウトラインエッジをシャープに出す際には目の細かい150メッシュ。
フォトデザイン等を網点で表現する場合には更に細かい200メッシュ、等々。

それらのスクリーンをフレームに張り込む作業を紗張りと言います。
刷り上がりのクオリティはこの技術で大きく決まります。張り具合のテンションが強いほど綺麗に刷り上がるのです。
しかしながら、ただ力任せに紗を張っては当然のように破れてしまいますし、ブヨブヨでは話になりません。絶妙な力加減、コツがあるわけです。

紗張りの次に、デザインを焼き付けるために感光剤を表面に塗ります。
これは紫外線に反応して固まる性質で、ステンレスバケットを用いて塗る際にムラなく、適度な厚みを保つのは意外に難しかったりもします。

感光剤を乾燥させると、いよいよデザインを焼き付ける露光という行程になります。
ポジフィルムに出力したデザインをスクリーンに貼り付け、専用の露光機にて見合った時間、紫外線を当て続けます。
そうすると感光剤の部分は固まり、フィルムによって紫外線を防がれていた部分は、その後表面を水で流すと、感光剤が流れて穴が開いた状態になります。これで、インクをキャンバスに刷ることが出来るのです。


以上のような経て、ようやくベースとなるスクリーンが出来上がります。
見えない部分の作業ですが、確かな技術と拘りが必要な大切な行程です。
イベントには、こうして予め拵えたスクリーンを持っていくことになります。こればかりは仕方ありませんからね。



GWのご予定はもうお決まりですか?
LIVE PRINT、なんていかがでしょうか。